四月怪談2014/07/27 01:18

川上未映子の「愛の夢とか」に出てくる十三月怪談が、これのオマージュじゃないか、というのをネットのどこかで見て、ちょっと読んでみようと図書館で探したらあったので、読んだのだが、、、これが、すごい。どう表現していいのか分からないくらい、というか、おい、早く生き返れよと焦燥感にかられつつ、でも、やってることはよくわかるし、そこに表現されていることは、文章でも書けるだろうけど、よりダイレクトに入ってくるというかで、100年死んでる霊とか、まあ、平たく言えば時の無常さを感じるわけだけど、それが、なんて簡単に、でも、十分すぎるほどの切実さで表現されているすごさ。。文法ムチャクチャだな^_^; 唐突に中島梓(栗本薫か?)のセイレーンを思い出したりした。 わたしにとって、大島弓子は、グーグーだって猫であるの作者で、それはそれで、のんびりというかほのぼのとした感じがだいすきだったんだけど、これはすごい。ひさびさにヒット。川上未映子もよかったけど。

舞台/西加奈子2014/06/27 01:04

最近ワールドカップばかり見ているので映画を見ていない^_^;

不思議な話。ニューヨークに来たのは初めて。セントラルパークで小説を読みたかったのだが、はしゃいだせいで、読もうとした瞬間に全財産を入れたバッグを取られる。そこで主人公がとった反応は「笑う」ということ。それも、とびきりなんでもないんだよという、で、何時間も寝るし。格好わるいからすぐに領事館には行かないが、クレジットカードを悪用されているかもと気づくと無茶ビビるという。でも、カード会社の兄ちゃんには旅慣れた風を装ったり、まあ、自意識過剰というか、面白いけど、そら疲れるわな、と。

その父は小説家だが、全て、他人からどう見えるかということでセルフプロデュースしているような人で、それがしゃらくせー、らしい。が、入院して買った「地球の歩き方」がニューヨークに行くきっかけだったり、それを他人に見せちゃいけない、と、持って帰ったり、主人公も父が嫌いなのかどうなのか、はっきりしない。自分でもそうだろう。わかるような気はする。

で、主人公は12ドルしかない状態で、90セントだかのピザを食いながら滞在を続ける。500mlの水を2ドルで買うとかありえねーよー、とか思ったが、本屋のウォータークーラーで水を飲むようになる。

そのうち、徐々に精神に変調をきたしてくるが、亡霊が常に見ているというのは、何なんだろう。ちょっと消化不良。わかるような気もしつつ。

しかし、最近、よく知らない人の小説を読むけど、みんな文章うまいねー。村上春樹みたいに「この文体が好き」とはならないけど、さすがに売り物の小説を出す人だなーと。ま、どうでもいいか。

小山田浩子 穴2014/05/28 02:18

何が、というわけでもないのだが面白かった。

夫の実家の隣に住むことになったお嫁さんのお話。黒い獣を追いかけて川沿いの土手を降りたところの穴に落ちたり、お隣の世羅さんに助けられたり、世羅さんを訪ねようとしたら義兄を見つけたり。

義祖父が雨の日に水まきするのを見つけるのがなんともいえず辛い気分。義母も認知症になっていたのを分かっていたのだが、近所の人はわかっていなかったらしい。

結局、夜、突然出て行った義祖父は肺炎にかかって死んでしまうが、その通夜、じゃない、なんだったっけ?にも義兄は出てこない、と思えば、いると言われた倉庫だったかには、人がいた形跡もなく、、、謎は沢山残るが、なんとなく感覚的にわかったような気になるところが面白い。

文体が、村上春樹みたいに独特な感があるわけでもないのだが、何か丁寧というか美しというのはちょっと違うけど、無味乾燥でもなく、よくわからないけど心地よいというか、だった。

リア王2014/05/09 03:27

最近、なぜか、シェークスピアを読んでるが、これが一番面白かった。いきなり、コーディリアを勘当してしまったりする王様もだが、その娘二人も、その二人の両方に取り入る庶子とか、いろいろと。

最後は、ハッピーエンドにすることもできたろうけど、これは悲劇。まあそうなるだろうな、と思いつつ、みんな死んでしまう。フランスとの戦争になったのは、そもそも王様のせいだよなぁ。

脚注みてると、英語がよくわかる人が原文で読んだら面白いんだろうなぁ、と思うが、そこまでの時間も教養もないのであった ^_^;

The Proxy Marriage / Maile Meloy2014/03/11 02:59

子供の頃から恋していた相手。彼女の父親が引き受けた代理結婚を何度も行う。初めてのときは震えたが、そのうちそうでもなくなる。彼女は初めから普段着だし、特別の意味は感じていない。やがてダンスの学校へ行く彼女と、ピアノーやがては作曲を目指すウィリアムズ。会うのは代理結婚のときくらい。ニューヨークに行き、レストランのオーナーと結婚する彼女。母からその話を聞いた彼。母は彼が恋しているのを知っていた。暫くの間、不思議な浮遊感や自由な感触で作曲できるようになったが、離婚して故郷に戻ったのを聞き、そんな幸せも途切れる。そんなとき、また、代理結婚を頼まれる。黒人の二人は、スカイプでつないで見学する。最後に、キスくらいサービスはないの?と。キスする二人。彼女は初めて何かに気づく。彼はずっとそうだったと告白する。

んー。なんというか、言葉にするとありきたりだなぁ。なんとも言えず、幸せというか、涙が出そうになったんだけど、全く表せそうにないね ^_^;; 村上春樹の訳。